甘えん坊の枇杷さん
また風邪をひいているせいなのか、枇杷さんに安眠妨害されているせいなのか(…)
何となく寝苦しくて早朝に目が覚めてしまった。
枇杷さんは布団の中に潜り込んでぬくぬくしていたから、そのまま寝ているだろうと思ったのに、
何故だか布団から出てきて、とことこついてきて、椅子に座る私の胡坐の中にいる。
布団の中の方があったかいだろうに。
ほんとうに、何て人恋しい甘えん坊ちゃんなんだろうか…かわいいやつめー。
でも一方で、枇杷さんの生い立ちの複雑さから「もしかして不安なのかな」と思ったりも。
もしそうなら、と思って、わからないだろうニンゲン語で枇杷さんに語りかけてみる。
もう誰も二度と枇杷ちゃんを放り出したりしないから、安心していいんだよ。
ここにずーっといていいんだよ、枇杷ちゃん。ここが枇杷ちゃんのおうちなんだよ。
ちょっとくらい私が離れていったって、ちゃんと戻ってくるから大丈夫なんだよ。
膝の中の枇杷さんに目を合わせて伝えてみると、枇杷さんはじっとこちらを見ていた。
そのあと、そっと目を閉じた。
そこに「わかった」っていう意思表示を見てしまうのは都合のいい解釈なんだろうなぁと思うんだけど、
何にしても、いつかちゃんと枇杷さんがしっかり安心してくれればいいなと思う。